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​偽物のサイン

​ 二枚の似通ったサインに見える。左側は美術家の宇川直宏さんが描いた藤城嘘、梅沢和木、黒瀬陽平のサインである。宇川さんは作品として大量の他人のサインを描いている。その中には水木しげるや赤塚不二夫などの漫画家から明治・大正・昭和天皇の親子三代のサインまで描いていた。ヤバい。私はそれも手に入れようと思っていたのだが既に売り切れていた。だが私はもっと良いものを手に入れた。このカオスラウンジ三人の偽サインである(左)。手に入れて私はすぐ本物の三人のところにこの偽サインを持って行って偽サインを真似てサインを描いてもらった。​そう、右側は本人たちが偽物に寄せて描いたサインなのだ。実際のサインとは全く異なっている。左は宇川さんの描いた本物の偽サインで、右は偽サインの偽物だが本人たちが描いている。わかりにくいだろう。そんなことは不可能だが本物性を数値化した場合、右側の偽物の方が高い数値にはならないか。左の偽物なのに。虚実がねじれたこの作品が今回の展示の肝なのです。あなたはどちらをより本物として捉えるだろうか。

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